「なんなんだこの訳ありキャスティング笑」

2026年10月15日、永野芽郁が主演とプロデュースを務めるドラマ『ヒマチの嬢王』に、伊藤健太郎の出演が決まったと発表されると、こんな苦笑いまじりの書き込みが出てきました。

伊藤健太郎には2020年の交通事故、永野芽郁には2025年の週刊誌の不倫疑惑報道(本人側は否定)があり、「訳あり」という言葉は、そこから来ています。

ただ、ふたりの「訳あり」は中身がまったく違ううえに、いま出ている作品も、地上波と配信で分かれているんです。

今回は、ふたりがいまどんな仕事をしているのかを、わかりやすく解説していきたいと思います。

 

伊藤健太郎の出演でざわついたヒマチの嬢王

『ヒマチの嬢王』は、茅原クレセの同名マンガが原作で、DMM TVが今冬から独占配信するオリジナルドラマとのこと。

歌舞伎町の元ナンバーワンのキャバ嬢・一条アヤネが、鳥取県米子市の朝日町、通称「ヒマチ」で、接客するキャストではなく、店を回す黒服として日本一のキャバクラを目指す物語です。

伊藤健太郎が演じるジュンは、アヤネの中学時代の同級生で、半日だけ付き合っていた元彼だと言い張る図々しい男。

地元で夢だった店長になったものの、店は赤字で借金を抱えていて、アヤネに手伝いを頼み込む役どころだそうです。

本人は「ジュンというキャラクターの愛くるしさや憎めないバカさ加減を表現させていただきました」とコメントしています。

発表の下には、「しくじり先生スペシャル」のような、ふたりの過去にかけた大喜利の書き込みが続き、「誰も引き受けてくれんかったのかな」と首をかしげる人もいました。

そのいっぽうで「お似合い」「2人とも好きな俳優さん♡」と、楽しみにしている人もちゃんといます。

 

そして、いちばん切実だったのは原作ファンの声でした。

「私の好きなマンガが訳あり俳優の招集ドラマになってて涙」という一言には、笑いとは別の、ちょっとしたさみしさがにじんでいます。

もっとも、原作ファンのざわつきは、8月に永野芽郁の主演が発表されたときから始まっていました。

原作は、小学館のマンガアプリ「マンガワン」で連載され、単行本は19巻、紙と電子を合わせて120万部を超えた作品です。

連載で長く親しんできたアヤネの顔が頭の中にある人ほど、実写の発表に身構えてしまうのは無理もありません。

 

では、「誰も引き受けてくれんかったのかな」という疑問には、答えがあるのでしょうか。

分かっているのは、永野芽郁がこの作品で初めてプロデューサーを務め、脚本の打ち合わせやキャスティングにも携わったと報じられていること。

ただ、伊藤健太郎の起用がどんな経緯で決まったのか、ほかに声をかけた人がいたのかまでは、いまのところ伝えられていません。

 

伊藤健太郎はもう地上波に戻っていた

伊藤健太郎の場合、思い出されるのは2020年10月の事故です。

都内で運転していた車がバイクとぶつかり、乗っていた男女がけがをして、本人はひき逃げなどの疑いで逮捕されました。

2021年3月、東京地検は伊藤健太郎を不起訴としています。

けがをさせたふたりとは示談が成立していて、ふたりが処罰を望んでいないことから、けがをさせた疑いは起訴猶予に。

ひき逃げの疑いについては、事故を起こしたという認識を認めるだけの証拠が足りないとして、嫌疑不十分という扱いだったと報じられています。

起訴猶予は、罪にあたる疑いはあっても、事情を考えて裁判にかけないという判断です。

嫌疑不十分は、裁判にかけられるだけの証拠がそろわなかったという判断なんですね。

どちらにしても、裁判で有罪と決まったわけではありません。

それでも仕事への影響は大きく、出演していたCMは14社分が放送できなくなったと、当時の東スポWEBは伝えています。

 

仕事に戻る最初の一歩は、2022年6月に公開された映画『冬薔薇』でした。

阪本順治監督のこの作品は、伊藤健太郎が演じることを前提に脚本が書かれたと報じられています。

地上波に戻ってきたのは2024年4月、日本テレビ系のドラマ『街並み照らすヤツら』です。

同じ年には、NHKの大河ドラマ『光る君へ』にも双寿丸という役で出演しています。

 

もっとも、戻ってくるたびに厳しい声もついてきました。

2025年1月から放送された関西テレビ系『未恋~かくれぼっちたち~』で主演が決まったときも、「ひき逃げについてちゃんと反省してるのかな」といった声が寄せられたと週刊女性PRIMEは伝えています。

そしてこの夏は、テレビ東京の深夜ドラマ『一緒にごはんをたべるだけ』で、早見あかりとのW主演を務めました。

事故のあと映画から始めて、地上波の連続ドラマで主演を任されるところまで戻ってきています。

 

永野芽郁の次の2本はどちらも配信作品

では、永野芽郁はどうでしょうか。

2025年4月、週刊文春が俳優との不倫疑惑を報じ、双方の事務所はこれを否定しました。

こちらは、法律の上で問われたことは何もありません。

それでも、9社あったCMの動画や画像はすべて削除され、ラジオ番組も降板したと日刊ゲンダイは伝えています。

いま放送中の大河ドラマ『豊臣兄弟!』についても、NHKは2025年5月、事務所から出演辞退の申し出があり受け入れたと発表しました。

そのあと決まった主演作が、2025年12月に発表されたNetflix映画『僕の狂ったフェミ彼女』で、配信は2026年12月3日。

韓国のミン・ジヒョンの小説が原作で、役づくりのためにロングヘアをばっさり切ったことも話題になりました。

そして今冬、DMM TVで『ヒマチの嬢王』が始まります。

どちらも、配信の作品なんですね。

伊藤健太郎の出演が発表されたのと同じ日の東スポWEBも、関係者の話として、永野芽郁が配信の作品に軸足を移したと伝えていました。

 

なぜ配信なのかを、東スポWEBははっきり書いていません。

ただ、お金の出どころを比べると、思い当たることがひとつ。

民放の地上波ドラマは、CMを出す会社のお金で作られています。

伊藤健太郎のときも永野芽郁のときも、騒ぎのあとで止まったのはCMでした。

いっぽう配信は、会員が毎月払う料金で成り立っていて、見たい人が見たい作品を自分で選んで再生する場所です。

「2人とも好きな俳優さん♡」と書いたような人が、自分から見に来てくれるわけですね。

地上波にもう戻っている伊藤健太郎と、配信の作品が続く永野芽郁は、いま出ている場所がはっきり分かれています。

 

原作者が楽しみにしているアヤネとジュン

発表の下には、「夜職を美化するなマジで」という声もありました。

キャバクラが舞台の作品なので、そう心配する人がいるのは自然なこと。

この点については、原作者の茅原クレセがドラマ化の発表のときに、こんなことを話していました。

「業界の外の方にもたくさん読まれるので、夜の世界の華やかさだけを持ち帰ることにならないように、危ない面も意識して入れ込んだりしていました」

茅原クレセは、もともと地元の飲み屋さんで働いていたことがあり、そこから「田舎のキャバクラ」というテーマが生まれたのだとか。

永野芽郁については「自然体な透明感のある雰囲気も、擦れた雰囲気も出せる方だなと思った」と話し、アヤネを見るのが楽しみだとも書いていました。

脚本についても、「こちらの希望や修正なども、とても真摯に向き合ってくださいました」とのこと。

キャストにモヤモヤが残っていても、脚本は原作者が確かめたうえで仕上がっているので、そこは少し安心してよさそうです。

 

舞台になった鳥取でも、この作品を待っている人たちがいます。

地元の情報サイト「鳥取マガジン」は、発表の日にこう書いていました。

作品は配信より先に、第39回東京国際映画祭の特別上映部門に出品されることが決まっていて、10月27日にはヒューリックホール東京でワールドプレミア上映も行われます。

監督は宮本秀光で、上映にはキャストも登壇する予定とのこと。

永野芽郁と伊藤健太郎が演じるアヤネとジュンを最初に見られるのは、この上映の会場です。

原作のアヤネが好きだった人も、配信が始まったら、まずは1話だけのぞいてみてくださいね。